読muサウナ– category –
このカテゴリーでは、サウナを題材とした短編小説を
掲載しております。
通勤時間や待ち合わせの合間に読んでととのいませんか?
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ととのい、もう一度
上京して、もうすぐ4年になる。 カツキ、27歳。九州の片田舎から出てきた。「何かひとつでも成し遂げたい」と熱を持って飛び込んだ東京。だけど、思い描いていた“何か”は、まだどこにも見つからない。 音楽をやりたかった。けれど、バンドはすぐに解散。そ... -
昔の自分と、ととのう
昔と変わらない、くたびれた暖簾が風に揺れている。 看板の文字は少し色あせていたけれど、その雰囲気さえも懐かしい。 ユウタは足を止め、静かに深呼吸をした。 この道を歩くのは何年ぶりだろうか。 スーツでも作業着でもない、ラフな格好。現場が早く終... -
また、ここで。
湯気に包まれたその空間は、日常の輪郭を曖昧にする。職場のストレスや、友人との付き合い、些細な悩み。 すべてが熱とともに汗となり、身体から溶け出していくような感覚が心地よかった。 今日も俺は、一人でサウナに来ていた。近所の小さな銭湯に併設さ...
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